三種混合(DPT) 予防接種 教えて!ドクター
百日咳は病気の名前のように長く続く咳が特徴です。百日咳菌の感染によって菌の出す毒素が百日咳の症状を起こすと考えられています。以前、百日咳にかかったことのある人や、ワクチン接種を受けている人でも百日咳にかかることがあります。
最初はかぜと同じ症状ですが、だんだんと咳がひどくなり発作的な咳き込みが続いた後に息を吸い込むときにヒューと笛を吹くような音がします。また、咳き込んで吐くのが続き、痰をうまく出せないために息がつまって顔色が悪くなります。こうした時期が2〜3週間続きます。回復するまでには約2〜3ヵ月かかります。
ところが、成人の百日咳は咳が長く続くだけでヒューという特徴的な症状をとることは少ないようです。また、症状の出ないこともあります。
●百日咳の臨床症状
● 長期の咳(2週以上)
● 発作性の夜間の咳込み
● 吸気性笛声
● 咳による嘔吐
新生児や小さな赤ちゃんでは発作的な咳だけでなく、息をとめたり、窒息などの呼吸困難をおこすため緊急入院するようになります。小児の百日咳は病院を受診して抗菌剤で治療します。咳に対しては咳止めのお薬はありますがすぐには治りません。咳が長く残ります。成人の百日咳にも抗菌剤を使用します。
2002年ごろから徐々に百日咳の患者さんの報告例数が増えてきていました。2008年には各地の大学のキャンパスで流行が報告され問題となりました。
2009年は新型インフルエンザの大流行でインフルエンザ以外の感染症は少なくなっていましたが、今年になってまた百日咳の報告が増えてきています。
赤ちゃんの百日咳は40%がお兄ちゃん、お姉ちゃんから、同じく40%ぐらいがお母さんからで、残りがお父さんからと家族内感染で広がっていきます。狭い空間を共有する学校や塾でも感染が拡大します。成人の百日咳は大人の問題ではなく赤ちゃんを含めた全世代の問題です。
成人の百日咳の増加は世界的な現象です。その原因はワクチンで獲得した免疫機能の低下、百日咳菌の変化などがあげられます。特に日本では図で示しましたように欧米に比べてワクチンの接種回数が少ないこともひとつの原因と考えられます。百日咳のワクチンはジフテリアと破傷風のワクチンと一緒になったDPT三種混合ワクチンとして生後3ヵ月から約1ヵ月毎に3回接種しその後1年〜1年半で追加接種をします。3ヵ月になったら早めにワクチンを受けるようにしましょう。
欧米では小学校に入学する前、11〜12歳時にも百日咳の成分が入ったワクチン(Tdap/破傷風の成分は同じでジフテリアと百日咳の成分を減らしたワクチン)が接種されています。
日本では11〜12歳児には百日咳を含んでいないDTワクチンが接種されています。この時期にも百日咳の成分を含んだDPTワクチンの接種ができるように研究がおこなわれました。早く使えるようになることを期待しています。
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