皮ふ・スキンケア 子どもの病気 教えて!ドクター
1970年代からDDT、BHCの有機塩素系殺虫剤が使用禁止になり保育園児、幼稚園児、小学低学年、その母に頭虱の発生が多くなりました。ほとんどが集団生活から感染し、家族感染になっています。とくにこれからプールの季節に多くなりますが、頭虱は1年を通じて日常珍しくない疾患です。
メスの頭虱は1日に5個、1ヵ月に100個程度の卵を産みます。気がつかないでいると、かなり多くの卵が毛髪に付きます。
頭虱はシャンプーをしても、しっかり鋭い爪で髪の毛に付いていて生きています。また成虫が見られなくても、髪の毛に白い卵が付着していて普通のブラシ、櫛では取り除くことはできません。
卵から孵化した頭虱の成虫は頭皮から血液を吸い生きています。それで頭皮が痒くなります。頭虱は肉眼でも見えます。メスはオスより大きく3〜4ミリ程度、オスは小さく2〜3ミリ程度。頭皮に付いた卵はセメント質でしっかり髪に付いているので、日常のシャンプーではとれません。髪の毛の根元からしっかり洗い、よくゆすいで、ドライヤーで乾かしながら、意識して髪をよく見なければ見過ごしてしまいますね。成虫はブラシで髪をとかしてもとれず、目の細かい櫛でとかせば取り除けます。
小さい子どもは異常接近して遊ぶことが多く、頭を突き合わせて遊ぶことがあり、頭皮から頭皮へ成虫が移動することから感染します。また頭皮から離れた成虫は衣服に付いて頭皮に移動します。集団生活での衣服の着脱、帽子、タオル、マフラーなどの共有でも感染します。頭虱は頭皮から離れて3日程度は生きているようです。診察時に頭皮から成虫を探しますが、素早く髪に隠れます。
虱の駆除シャンプーがあります。使用方法を見て、3〜4日ごとに洗髪してください。
洗髪後はドライヤーで髪を乾かしながら、毛髪に付いた卵をしごき取り除くか、毛髪ごと切りとり、卵を駆除しましょう。成虫は何匹もいませんから1回の洗髪でほぼいなくなります。しかし卵は多く、7日前後で孵化して3回の脱皮で成虫になります。卵から成虫までは3週間ほどです。普通のシャンプーはもちろん毎日して、薬でのシャンプーは3〜4日ごと少し長めに3週間は使用してください。
シーツ、枕カバーは洗濯、念を入れればアイロンがけをしましょう。室内は掃除機をよくかけてください。頭虱は度、1分で死滅するようです。あまり神経質にならないで駆除しましょう。
頭虱は学校保健法改正になり1999年から「通常出席停止の必要のない伝染病」とされています。頭に虫を見つけたら鳥肌が立ちますが、落ち着いて冷静に対処しましょう。
写真は頭虱雌雄(左)、頭皮に付いた頭虱の卵(右)を顕微鏡で見たものです。卵の中に孵化する前の虫体が見えます。
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