おたふく 予防接種 教えて!ドクター
おたふくかぜってどんな病気でしょう?「耳の下がはれて、痛くなる病気でしょ」「男の人ではこう丸炎になって大変だとか」「髄膜炎ってのもあるって聞いたけど」。そうです、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は、耳の下にある耳下腺がはれるだけでなく、全身のあちこちに炎症を起こすことがある病気です。怖いのは男性だけではありません。女性でも妊娠中にかかると流産を起こす原因になります。そして、おたふくかぜにかかった人の千人に一人が重症の難聴(ムンプス難聴)になってしまうのです。
おたふくかぜは、かかっている人の咳やくしゃみから飛沫感染でうつります。2〜3週間の潜伏期間をおいて急に耳の下が痛むなどで発症します。発症の数日前から、はれが引くまでの間は感染力があります。不顕性感染といって、耳下腺のはれない人も3割ほどいます。耳下腺がはれなくても髄膜炎になったり難聴になることもあります。
おたふくかぜに有効な治療薬はありません。安静にしてはれているところを冷やしたり、痛み止めを使うなどで5〜14日ほどかかって治っていくのを待つだけです。こう丸炎やおたふくかぜによる髄膜炎は自然に治りますが、難聴は今の医学でも治す方法がありません。ムンプス難聴は耳の奥、内耳という部分の炎症で、耳鳴りがしたり、平衡感覚がおかしくなってふらついたり、吐いたりすることもあります。ふらつきや吐き気は次第に軽くなりますが、耳の聞こえはよくなりません。多くの場合片耳がまったく聞こえなくなってしまいます。
ムンプス難聴を防ぐには、予防接種しかありません。
おたふくかぜは、人から人にうつる病気です。一旦流行するとかなりの人がかかるので、その後数年間は流行せず、免疫を持たない人が増えるとふたたび流行します。みんながワクチンを受けて免疫をつけると、おたふくかぜは流行しなくなります。多くの国々では、はしか・風しん・おたふくかぜのMMRワクチンを無料で2回受けることができ、今ではおたふくかぜにかかる人はほとんどいません。
日本でもMMRワクチンが使用された時期がありましたが、ワクチンによる無菌性髄膜炎になる人が多く出たため、中止となってしまいました。副反応をゼロにすることは理想ですが、そのようなワクチンは実際にはありません。髄膜炎になる可能性はワクチン接種後は数千人に一人ですが、自然にかかると数十人に一人です。自然にかかるほうがずっと危険ですね。そしておたふくかぜの髄膜炎は後遺症なく治りますが、ムンプス難聴は治らないのです。
MMRワクチンの使用中止後、日本ではおたふくかぜワクチンは定期接種になっていませんが、決して必要のないワクチンではありません。専門家と称する方にも自然にかかることを勧める方がいますが、本当にそんなリスクをおかしてよいものでしょうか?保護者の皆さんに必要かどうかを判断していただいて是非受けていただきたいワクチンです。
子どもからうつってしまい、保護者が重症になることも珍しくありません。おたふくかぜワクチンは1歳以上であれば大人も含めて誰でも受けることができます。血液検査で抗体があるかどうかを調べることもできますが、免疫のある人がワクチンを受けても問題はありません。安心して受けてください。
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