夜泣き・夜尿症 子どもの病気 教えて!ドクター
朝起きると、布団に大きな「世界地図」。かっとなって、我が子をしかった——。こんな経験はありませんか。過日もおねしょで折檻した親のことが虐待の一つとして新聞に掲載されていました。
ときどきおねしょをする子どもは、3歳で約3割、4歳で約2割、5〜6歳で1割強です。「毎晩する」は3歳で約1割、4歳で5%、5〜6歳では3%前後に過ぎません。このように、おねしょは、5〜6歳になると自然に止まります。
幼児期にみられるおねしょの原因としては、一晩の尿量が多すぎる(200cc以上)ぐっしょり型と、その尿をためる膀胱の容量が小さいちょっぴり頻尿型、そして尿が多すぎる上に膀胱が小さい混合型とがあります。
●ぐっしょり型(学童では多尿型という)は、尿量を減らす抗利尿ホルモンの分泌が夜間睡眠中に少なく、うすい尿が沢山作られてしまうタイプです。抗利尿ホルモンは、元来夜間睡眠中に分泌されるのですが、そのリズムは3〜4歳頃から整いはじめ、5〜6歳になると殆どの子どもが整ってきます。
その結果、夜間の尿量は少なくなり、濃くなります。このリズムがまだ整っていないのがぐっしょり型となります。
●ちょっぴり頻尿型
(学童では膀胱型という)は、一晩の尿量が普通(150〜200cc)であっても、その尿を溜める膀胱の容量がまだ小さいために、あふれておねしょになってしまうものです。日中もおしっこが近く、場合によってはちびって(昼間遺尿)しまう場合もあります。
生活指導は、まず水分の摂取リズムを整えることが大切です。朝と昼に多めに飲ませて、夕方以降の水分を制限します。夕食時間もなるべく早くします。これは、寝るときに体にたくさんの水分があると、その水分を排泄しようとして、抗利尿ホルモンの分泌が抑えられるからです。その結果、夜間睡眠中に多尿となってしまいます。
ちょっぴり頻尿型の場合は、帰宅後にがまん訓練をさせることが多いのですが、6歳前にがまん訓練をさせると混乱し、おもらしをしてしまうので、幼児期では軽くおしっこをしたいときにがまんさせる程度にします。
夜中に起こしてトイレ排尿を促すことはしないようにします。夜中に無理やりトイレに起こすと、睡眠のリズムが妨げられて、多尿型の原因である抗利尿ホルモンの分泌がいつまでたっても増えなくなってしまうからです。
また、寒い時期は夏に比べ、膀胱機能が不安定となりがちです。汗をかかないので、尿量が増える上に、寒さで膀胱の蓄尿量が小さくなるからです。冷え対策として、寝る前にお風呂に入れたり、布団を暖めたりするとおねしょが減ります。
幼児期のおねしょは発達途上にあるので、治療の対象にはなりません。おねしょが学童期まで続く場合は、夜尿症となります。自然経過を見守ってもなかなか治らないことが多いので、是非、治療をうけるようにしましょう。医学的な治療としては、点鼻療法、内服薬、アラーム療法などを夜尿のタイプによって用いています。
参考
●筆者の管理する「おねしょねっと」のホームページ
(http://www.onesyo.net/)
●帆足英一著
「新・おねしょなんかこわくない」(小学館)
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