ヒブ・肺炎球菌 予防接種 教えて!ドクター
すべての病気からお子さまを守ることはできませんが、いくつかの病気、それもかかると怖い病気や伝染力が強くうつりやすい病気の中には、ワクチンで防げるものがあります。かからないで済めば、こんなにありがたいことはありません。
ワクチンは、①治療での費用と較べるとお金がかからず、②それに特別な設備がいらないし、③何より病気から子どもたちを守ってくれます。ワクチンの役割には、自分自身を守るだけでなく、他の人にうつさないことで家族やまわりの弱い人たちを守ることがあります。
昨年12月から接種出来るようになったのがヒブワクチン(アクトヒブR)です。ヒブワクチンは、子どもたちにとって最も恐ろしい「細菌性髄膜炎」とノドの奥が腫れあがり窒息していのちに関わる「喉頭蓋炎」などから守ってくれる画期的なワクチンです。欧米では1990年代すぐに定期接種となっているので、日本は15年以上も遅れての採用です。細菌性髄膜炎の原因菌の約3分の2がヒブで、このワクチンによってかなりの髄膜炎とすべての喉頭蓋炎が予防できます。日本では年間少なくとも700人以上がヒブ重症感染症にかかっていて、100人以上に後遺症が残り、少なくとも20人以上が亡くなっていると推測されます。
どうぞ皆さんのお子さまに、ヒブワクチンを受けさせてあげて下さい。3種混合と同じスケジュールなので4回の接種が必要です。年齢が7ヵ月を過ぎると接種回数が減りますが、5歳までは接種できます。
ワクチンは100%有効ではないし100%安全とも言えません。しかし、ヒブワクチンはすでに数億人に接種されていて、米国では3種混合と同等以上の安全性が証明されています。ヒブワクチンの効果は98%と言われていますが、デンマークでは2007年、ヒブ髄膜炎はゼロで発生がありませんでした。
ヒブワクチンの大切さが皆さまにお伝えできて、より多くの皆さまがヒブワクチンだけでなく、接種可能なワクチンをしっかり受けていただけますことを願っています。
ただヒブワクチンは、その値段が大きな問題です。任意接種は100%個人の負担となるため、1回7〜8000円、4回で3万円前後もかかります。先進国でヒブワクチンが任意接種の国はありません。1日でも早く負担のない定期接種にしてほしいと思います。そのため「細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会(http://zuimakuen.net/)」も活動しています。
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