アレルギー 子どもの病気 教えて!ドクター
私たちのからだは、体内へ侵入してくる異物(抗原)に対し、それに対抗するための物質(抗体)を作り出して、異物を排除しようとする仕組みを持っています。この仕組みを「抗原抗体反応」といいます。この反応が過剰に起こってしまうことを「アレルギー」といい、からだに負担となるさまざまな症状があらわれてしまいます。花粉症は花粉が原因で起こるアレルギー性の病気です。花粉が目や鼻の粘膜に付着すると、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどを引き起します。花粉が飛ぶ季節だけ症状があらわれるので、季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれます。一方、ダニや家のごみ(ハウスダスト)によるアレルギー性鼻炎は1年中症状が出ることが多いので通年性アレルギー性鼻炎といわれています。
通年性アレルギー性鼻炎は従来から小児で発症が多かったのですが、花粉症は、20〜30歳代で発症することが多いとされていました。しかし近年では、スギ花粉などに感作(スギ花粉に対して花粉症を引き起こす抗体を作ってしまうこと)している子どもも増えています。1歳未満で発症したという報告もありますが、そんなに小さな子どもでは花粉症かどうかの診断は簡単ではありません。一般的には4〜5歳から増え始め、地域により差はありますが、小学生でスギ花粉に感作している割合はおよそ40〜60%で、そのうち約30〜40%が発症していると考えています。
花粉の飛散量が増加していることが主な原因の1つですが、必ずしも花粉飛散量が多い地域での発症率が高いというわけでもありません。したがって、子どもの場合では、体質の変化も大きく影響していると考えています。
アトピー性皮膚炎や喘息の子どもでは、半数以上の割合でアレルギー性鼻炎であることがわかっています。しかし、保護者の関心が、皮膚の症状や咳に向けられてしまうことが多く、鼻の症状が放置されている場合が少なくありません。くしゃみを頻繁にするとか、水っぱなをよく出しているとか、口をあけていることが多いなどの症状があれば、耳鼻咽喉科などの専門医に診察してもらったほうがいいでしょう。
アレルギー性鼻炎が改善すると喘息の症状も改善し、また、花粉が飛ぶ時期に鼻の症状が悪化すると喘息も悪化することは、日常の診療でよく見受けられます。したがって、アレルギー性鼻炎と喘息が合併している場合、喘息だけでなく、アレルギー性鼻炎の治療もしっかり行うことが大切です。
小さな子どもでは、自分で症状を伝えられないことから、花粉症が放置されている場合もあります。花粉症を放置しておくと、日中の眠気が増したり、注意・集中力が低下したりするだけでなく、鼻の粘膜が過敏になり、気温差などの刺激に対しても反応を起してしまうようになります。小さな子どもに限らず、花粉症は早めの治療がとても大切です。
薬物療法、免疫療法、手術などがありますが、6歳までは薬物療法が中心で、花粉症の症状や程度に合わせて、飲み薬や鼻に噴霧する薬などを使い分けたり、組み合わせたりして治療を行います。
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