嘔吐・下痢 子どもの病気 教えて!ドクター
最近よく耳にするようになったノロウイルス(以下ノロ)、以前から何となく身近な感染症だった気がするロタウイルス(以下ロタ)、一体何がどう違うの?というご質問をよく受けます。
両方とも、子どもたちの急性胃腸炎の原因ウイルスとして代表的なもので、ノロが11月〜3月頃に、その流行を引き継ぐかのように1月〜4月頃にロタが多くみられます。ともに嘔吐、下痢、発熱が主な症状で、ノロの患者さんの方が吐き気を訴えることが多く、ロタの患者さんでは白っぽい色の下痢が見られることが多くあります。感染してから症状が出るまでの潜伏期間は平均1〜2日で、ほとんどのお子さまは1〜2日で治っていきますが、その後も便の中にウイルスが出ている状態が1週間程度続くことがあるので、注意が必要です。
ノロは、牡蠣に代表される汚染された食物を介した食中毒の原因にもなることなどから、最近注目を集めるようになってきました。
残念ながら、現在までのところ、ノロ・ロタそのものを死滅させる特効薬はありません。症状を軽くするための対症療法、具体的には吐き気を抑えるための坐薬、おなかの調子を整える整腸剤、発熱を抑える解熱剤などが使われます。
そして何より大切なのが、こまめな水分摂取による脱水予防。嘔吐の直後は、何を飲ませてもさらに吐き気が誘発されてしまう事が多いので、最後に嘔吐してから30分くらいは抱っこなどで落ち着かせてあげてください。その後、10cc程度のイオン飲料などを与えてみて、10分間隔で10ccずつ増やして50ccくらいまで飲めれば一安心。ある程度、お子さまの好きなものを与えても良いでしょう。
こうした対処でも、ぐったりしてきたり、意識がおかしかったりしたら迷わず小児科の外来へ。初期の時点で脱水のサインを見逃さないためにも、普段からお子さまのオシッコの頻度や体重を知っておくことが重要です。
下痢が続くと、特に赤ちゃんではお尻まわりがかぶれることが多いもの。こまめにオムツを換えてあげる必要がありますが、その際、下痢便をふき取るために何回も赤ちゃんの皮膚をこすると、皮膚の赤みが増す原因になります。お勧めなのは、ぬるま湯を入れた霧吹きでお尻を洗い流すようにすること。その後、お尻ふきまたは清潔なコットンで、余分な水分を軽く拭き取るだけにしてあげると、皮膚への刺激が減らせます。
ノロもロタもとても感染力の強いウイルスで、家庭内や保育園・幼稚園などの施設で集団発生することがあります。下痢便の中にはもちろん、嘔吐物の中にもウイルスは多数存在するので、これらをきちんと処理することが大切です。
この2つのウイルスは乾燥に強く、アルコールでは効果がないため、乾いて舞い上がった汚物を吸い込まないようマスク、そして使い捨て手袋をしてから汚物を新聞紙などでふき取り、それらを塩素系の漂白剤(ハイター、ブリーチなど)や哺乳びん消毒薬(ミルトンなど)で消毒します。汚れたシーツや洋服の洗濯は、30分くらいつけ置き消毒をしてから、他のものと分けて洗濯しましょう。
ノロは牡蠣の中腸と呼ばれる内臓に溜まっています。食中毒を予防するためには、しっかり食品を中まで、目安として85度で1分間以上加熱することが大切です。まな板、包丁などの調理器具も先ほどの消毒薬、または熱湯でしっかり消毒しましょう。
感染症の予防の基本はなんと言っても手洗いです。帰宅時、食前、排便後、そして保護者の方は調理前、汚物処理後にも、十分に石鹸をあわ立てて流水で洗い流しましょう。石鹸はウイルスの消毒効果はないのですが、ウイルスを洗い落としやすくする作用があります。特に、手首や指・爪の間、手のしわには汚れが残りやすいので注意して洗いましょう。
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