目 子どもの病気 教えて!ドクター
子どもの眼球は、生まれたときは直径17〜18㎜くらいの大きさですが、5〜6歳になると大人に近い22〜23㎜の大きさに発育します。ところが、物を見る力、すなわち視力は、眼球が生まれたときに相当の大きさ(身体の全長に比し)を持っているにもかかわらず、明暗か、せいぜい目の前で手を振るのが分かる程度のわずかな視力なのです。正に未熟なのです。
このような低い、未熟な視力が、毎日毎日両目を開いて、外界のいろいろな物の形を見つめることによって見る学習をしていき、急速に視力が発達をしていくのです。そして図のように5〜6歳でほとんどの子どもが1.0〜1.2の視力に発達をしているのです。この年齢になると、未熟な視力がほぼ完成していることになります。
この視力の未熟な6歳までの発達期に、視力発達を損なうような目の異常の存在は重大な結果になります。その影響の多いのは屈折異常ですが、子どもの屈折異常というと、直ぐに近視を念頭に置きますが、実は視力発達に最も影響の少ないのが近視で、厄介なのは先天性と考えられる遠視と乱視なのです。
遠視は、以前は良く見えすぎが遠視だと誤解されていましたが、本当は屈折力が弱すぎるため、遠くも近くも物を明瞭に見ることができず、視力発達が遅れてしまうのです。
また、乱視は主として角膜の湾曲が正しい球面をしていなくて、ラグビーボールのようになって、一方の方向が明瞭に見えないので同様に発達遅れとなるのです。このように視力の発達が遅れた異常を弱視といいます。
視線がずれている斜視も、ずれている方の目が使われないために弱視になりやすいのです。さらに斜視は両目同時に使われないために、両眼視してこその立体感の発達も損なわれるのです。
なお、弱視について誤解の無いようにしておくのは、屈折異常を矯正しても、矯正視力が不十分なことを弱視というので、近視では、眼鏡矯正でよい矯正視力が得られるので弱視の心配はないのです。
このような、視力発達を損なうような屈折異常は、出来るだけ早期に発見し、眼鏡でその異常な屈折を矯正して、視力発達を促す必要があります。斜視は視線を注意深く観察すれば、視線(眼位)のずれは発見できます。一方遠視や乱視は、まず視力検査をしなければ発見できません。
そこで最も勧めるのは3歳児健康診査での視力検査です。この年齢での健診が、視力発達阻害の異常を発見するのに最適です。そして、少しでも早く眼科の先生に受診し、屈折異常を矯正するメガネの常用や斜視の眼位を矯正する治療をしなければなりません。
6歳では遅すぎるのです。
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