発熱、かぜ 子どもの病気 教えて!ドクター
冬です。風邪の季節です。皆がマスクをして、学校が学級閉鎖になり、病院は風邪の患者さんで一杯になります。
ところで、その風邪ですが、改まって風邪って何?と聞かれると、ちょっと答えにくい病気です。熱だけの風邪、咳だけの風邪、鼻水だけの風邪、そんなはっきりした症状は無いけどなんとなくダルイのも風邪と言いますし、インフルエンザもあります。それに、おたふく風邪は風邪でしょうか?何がなんだかわからなくなります。
風邪という病気はありません。花という名の花がなく、バラとか百合とかいう花があるように、風邪と一言で言っても、実はさまざまな病気が「風邪」と呼ばれているからです。
一般にはウイルスによる熱や咽喉の痛み、鼻水、咳などがあると風邪と言っていますが、実際には細菌が原因の事もあります。また、「風邪」と思っていたら川崎病やリウマチだったり、場合によっては癌だったりすることさえあります。
風邪の原因ウイルスは200種類以上もあると言われています。ライノ、パラインフルエンザ、アデノ、エンテロ、コクサッキー、エコー、RS、コロナ、インフルエンザなどが有名です。更に、これに細菌、マイコプラズマ、クラジミアなど、ウイルス以外の風邪をおこす病原体が加わるため、風邪の症状は多彩になるのです。
感染症の治療の原則は、病気の原因となっているウイルスなどの病原体を特定し、その病原体を殺す薬を使うことです。至って、簡単な話なのです。ただ、問題は風邪のウイルスを殺す薬は、現在のところほとんど無いのです。つまり、原因はわかっても治療ができないことが多いのです。
お医者さんの仕事は、風邪だから風邪薬を出すという単純明快な仕事ではありません。病気を診て色々な可能性を考え、各々の患者さんにそれぞれベストの対応を考えるところにこそ医者の使命と腕の見せ所があるのです。
風邪のウイルスを殺す薬がほとんど無い以上、私たちが打つ最大の手は予防です。ウイルスは、風邪になった人から飛沫感染や空気感染して周りの人にうつります。昔から言われている、マスク(ガーゼではなく不織布のものがお勧め)、手洗い、うがいは、簡単でお金もかからない優れた予防法です。
また、風邪のシーズン到来の前に、ワクチンを打っておくことも大事です。たしかにインフルエンザワクチンは、打っていてもインフルエンザになることがあり、効きが悪いような印象をお持ちの方もおられると思います。しかし、関が原の戦いで鎧を着ていても死ぬ人がいるからといって、裸で戦場に行く人はいないと思います。
もちろん、町の薬局で風邪薬は売っています。しかし、これは風邪の原因となっているウイルスや細菌を殺す根本治療薬ではなく、熱や咳を軽くして自分の抵抗力で風邪が治る間、症状を緩和する薬です。使い方によってはとてもいい薬です。しかし、場合によっては、風邪を長引かせることになるかもしれません。
いつもと比べて重い風邪や、風邪がこじれた時は、すみやかにかかりつけのお医者さんを受診しましょう。乳幼児はできるだけ早く、大人でも3日たっても良くなる傾向がなかったら、お医者さんのところに行ったほうが良いでしょう。その時は、これまでの熱や咳などの症状の経過や使った薬などを書いて持って行くのも忘れずに!
たかが風邪、されど風邪。昔から、「風邪は万病の元」と呼ばれているのは、風邪が色々な病気の原因でもあり、また同時に色々な病気の結果でもあるということを示しているのだと思います。
Copyright © 2011 Mikihouse child & family research and marketing institute inc. All rights reserved.
この記事にコメントしよう