感染症 子どもの病気 教えて!ドクター
「突発性発疹」という病名を聞いたことがありますか。漢字で書くとなんだか恐ろしげな印象ですが、じつはこれ、赤ちゃんが初めてかかる「かぜ」ともいえる病気です。初めての発熱の3分の2がこの病気であった、という報告があります。
なんの前触れもなしに突然38℃以上、時には40℃に達する発熱がおこります。たいてい発熱以外に症状はなく、熱が高い割にけろっとしていて食欲もまずまず、といったお子さんがほとんどです。発熱は3日程度続くことが多く、熱が下がると同時にからだじゅうに紅色の発疹が「突発的に」広がります。発疹はあまり盛り上がらず、ところどころくっついており、2日程度で消えてゆきます。その頃になると便がゆるくなることもあります。
ヒトヘルペスウイルス|6および7(HHV|6、HHV|7)というウイルスが原因とされています。2種類のウイルスがある、ということは2回かかる可能性がある、ということでもあります。そのほか、夏かぜの原因ウイルスなどでも似たような症状をひき起こすことがあるため、3回以上かかった、という子も時折みかけます。このウイルスはいったんかかると体の中に残ってしまうため、まわりの大人の唾液などから感染する、とされています。2歳までにほとんどの子どもが感染することが血液検査から知られており、症状がでないまま感染しているケース(不顕性感染、といいます)も多いようです。
初めのうちは発熱だけで決め手に欠けるため、はっきりと診断するのは難しいです。
①熱が高いわりに元気だ
②大泉門(赤ちゃんの頭の真ん中、骨がくっついていないやわらかなところ)が少し張っていることが多い
③のどのおくに、つぶつぶがついているようにみえることがある(永山斑、といいます)
④熱が下がる前にフライング的に発疹が出はじめていることがある
などの特徴を参考に診断するようにこころがけていますが、発疹が広がるまでわからないことも多く、その時点ではすでに治っているわけですから、小児科医としてはちょっぴりくやしいときもあります。
通常は何事もなく治ってしまう病気ですが、けいれん(熱性けいれん)を引きおこすことがあり注意が必要です。熱性けいれんで経過を見ているうちに熱が下がって発疹が広がり、やっぱりそうか、と感じることもしばしばあります。ご両親やきょうだいに熱性けいれんを起こしたことがある場合はとくに注意してください。ごくまれに脳炎などを起こすことも知られており、その場合は後遺症が残ったりもします。
この病気に限らず、熱が高いときには脱水にならないよう水分補給に気を配りましょう。少しずつ、何回かにわけて飲ませてみましょう。つらそうなら、かかりつけの小児科でいただいた解熱剤を用いてもかまわないでしょう。少しでも快適に過ごせるように工夫してみるとよいでしょう。
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