感染症 子どもの病気 教えて!ドクター
夏風邪とは正式な病名ではありません。夏に感染するウイルスが引き起こす病気の総称と思っていただいた方が良いかと思います。
さて、それでは、夏に感染しやすいウイルスにはどのような種類があるのでしょう。専門的な名称では、アデノウイルス、コクサッキーウイルス、エンテロウイルスなどがあり、それらで引き起こされる夏風邪には、アデノウイルスによるプール熱、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスによる手足口病、コクサッキーウイルスによるヘルパンギーナなどがあります。
これらのウイルスによる病気は、特効薬がなく、結局は対症療法といって、それぞれの病気で見られる症状を緩和させる治療を施し、自然経過で治癒するのを待つことになります。
これらの夏風邪の病気の中で、手足口病を例にとりあげて説明いたしましょう。この病気は、病名のように手、足、口の中に発疹が出来るのが特徴ですが、膝やお尻にもよく見られます。発疹は水ぶくれになったり、破れたりすることもあります。
熱はあまり出ず、約2割程度の方では発熱する場合もありますが、多くは自然に放置しておいても治っていきます。しかし、口の中の発疹が破れると食事の際に痛くて食べられないことがあり困ります。そのため、特別な薬は不要ですが、口の痛みがひどいときや発熱に対しては内服薬を使うことがあります。
食べ物のとり方も、口が痛くならないように刺激物などは避け、牛乳、プリン、ゼリーなど工夫して与えてみてください。元気がなく排尿回数が少ないなどの脱水症状が見られた時には点滴による水分補給を行うこともあります。
手足口病は1週間もあれば治っていく病気ですが、ウイルスは鼻水や便中に数週間も排泄されますので、完全に予防するのは難しい病気です。さらに、一度かかってもまたかかることもあります。そのため、保育所などの登園も、熱などなく元気であれば良いことになっています。しかしながら、手洗いなどで少しでも予防できるよう努力することは大切ですね。
また、まれですが、髄膜炎という恐い合併症を起こすことがあるので、高熱、頭痛、嘔吐、痙攣などの症状がある時はすぐに受診してくださいね。
夏は暑くて体力を消耗しやすい時期です。また、エアコンなどで、屋内外での気温差も体調不良の原因となります。その他、睡眠不足や食欲不振、脱水などにもなりやすい時期です。そのため、休養や睡眠に心がけ、水分補給することが夏風邪の対策としては大切となりますので、心がけてください。
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