禁煙 ママの病気・健康 教えて!ドクター
タバコは喫煙者本人だけでなく、周囲の人々にも健康被害をもたらします。
周囲の人々が吸わされるタバコの副流煙は、喫煙者が吸い込む主流煙より、なお危険です。主流煙を1とすると、副流煙では、アンモニアが46倍、一酸化炭素は4.7倍、タールは3.4倍、ニコチンは2.8倍も含まれています。シックハウス症候群の原因になるホルムアルデヒドも、多く含まれています。
「大丈夫、換気扇の下やベランダで吸っているから」と思っておられる方は、図をご覧ください。非喫煙者の受動喫煙被害は、ニコチン代謝物である尿中コチニン濃度で推定できます。子どもの尿中コチニン濃度は、非喫煙者家庭を1とすると、屋内喫煙者家庭では15.2倍、屋外又は換気扇の下では10.3〜3.2倍、屋外喫煙でも2.4〜2.0倍です。副流煙だけでなく、喫煙者の呼気(吐く息)や、衣服についた臭いも有害であることが分かります。
禁煙席と喫煙席が分けられたレストランも、オシッコが出来るレーンがあるプールと同じことです。空気や水は繋がっているので、ゾーンを分けても意味がありません。完全禁煙のレストランを利用しましょう。また空気清浄機は、タバコの煙の96%を占めるガス成分を素通りさせるので、受動喫煙対策には失格です。
今年、世界保健機関(WHO)は、世界禁煙デーの標語に「室内は完全禁煙に」を選びました。室内は完全禁煙しかありえないのです。人間は呼吸をせずには、一刻も生きていけません。家庭内の空気を汚すタバコは、家庭内暴力であり、子どもにとっては児童虐待です。同様に車の中での喫煙も論外です。
大人のタバコは、子どもの受動喫煙被害を引き起こし、気管支喘息・気管支炎・中耳炎・歯肉着色・アトピー性皮膚炎などの発症や増悪の原因となります。
また乳幼児突然死症候群のリスクも上昇します。子どもの誤嚥事故のトップは、タバコの吸い殻です。また子どもだけで留守番中に発生した火事の多くが、ライターの火遊びです。親が喫煙者でなければライターもなく、火事も起こらなかったと思われます。
タバコは「百害あって一利なし」で、ご自分と周囲の方の人生を曇らせます。子育ては、タバコのない、さわやかな環境で行いましょう。喫煙者の方は、子育てを機に、ご家族やご自分の人生のために禁煙しましょう。ご自分では無理な方は、禁煙外来(日本禁煙学会のHPに掲載)や、薬局で相談してください。タバコのない環境は、お子さんの人生にとって、どんな高価な物よりも、素晴らしいプレゼントになることでしょう。
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