BCG 予防接種 教えて!ドクター
結核は結核菌により発症する感染症です。麻しんやインフルエンザは急性の感染症ですが、このような急性の感染症とくらべ、結核は感染から発病までの期間が長く、かつ病気の経過も長くかかる慢性の感染症の代表です。
また、子どもの結核は、おとなの結核とは少し様相が異なります。感染症に抵抗力の少ない幼い子どもの結核症は、結核患者と濃厚に接触したときに、感染から発病が早く、発病率が高く、発病時に重症化しやすいのが特徴です。
そのなかでも重篤な結核症である結核性髄膜炎は、いまだに予後が悪く、運よく命をとりとめても、寝たきりや失明、けいれんなどの重篤な後遺症を残すことが多くあります。
日本の結核患者数は、新登録結核患者数※注1が2万8319人、罹患率※注2が22.2です。日本の罹患率は、スウェーデン(4.6)の4.8倍、米国(4.9)の4.5倍、オーストラリア(5.3)の4.2倍にあたります。
※注1 新登録結核患者数は、その1年間に発生した新たな患者数。
※注2 罹患率は、人口10万人対の新登録患者数
世界的には、毎年約900万人の新患者が発生する世界最大級の感染症であり、アフリカなどではヒト免疫不全ウイルス/エイズ合併患者増加の影響を受けて増え続けています。
BCGは、約一世紀前に開発された結核予防のためのワクチンです。また、今日使用されているワクチンの中でもっとも古く、広くもちいられ、現在も世界保健機構(WHO)が推奨する六大ワクチンのうちのひとつであり、実績のあるワクチンです。
現在もちいられているBCGワクチンは、「もっとも安全性の高いワクチン」のひとつであると考えられています。さらに日本では経皮法(管針法)で接種されているので、骨炎や局所の潰瘍、膿瘍などの副作用の頻度は著しく低いとされています。
BCGは子どもの結核、とりわけ重症結核に予防効果が高いといわれています。また、安全性はワクチンの中でも高く、免疫不全症の子どもにあやまって接種してしまう以外には、死亡リスクは通常ほとんどありません。
国によって定められた定期接種期間は「生後すぐから6ヵ月まで」ですが、安全の確保のために生後3ヵ月を過ぎてからの接種が必要です。そうしますと、接種期間が生後3ヵ月から6ヵ月までの3ヵ月間しかありません。現実にはこの3ヵ月間に接種ください。
しかし、定期接種期間が余りに短いために、基礎に病気を持つ子どもたちは接種洩れになってしまいます。小児科学会をはじめ多くの専門家は、最低12ヵ月まで定期接種期間が延長されることを要望しています。この点は、親御さん達の願いと同じです。
結核状況が十分に改善していない日本の現状ではBCG接種は継続して接種していくことが必要といわれています。
※2013年4月1日以降は生後1歳までの間に接種することと変更されました。なお、標準的な接種は生後5ヵ月から8ヵ月の間に行うこととされています。
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