インフルエンザ 予防接種 教えて!ドクター
インフルエンザの多くは、急な高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、そして咳やくしゃみ、鼻水などが続きます。だらだらする「かぜ」と違って症状が強く、急に現れるのが特徴です。0歳児(乳児)のインフルエンザはあまり典型的な症状にならない(軽い)ことがほとんどです。
インフルエンザにかかっても大多数の人は特に治療を行なわなくても少々つらい思いを我慢すれば1〜2週間で自然に治りますが、高齢者では肺炎や気管支炎を合併しやすく、小児では脱水症や熱性けいれん、そして1歳から小学校前の幼児を中心にして急性脳症がおきることがあります(年間100〜200例ほど)。高齢者の肺炎、幼児の急性脳症は死の原因になることがあります。
インフルエンザワクチンは残念ながら、ポリオやはしかのワクチンほどの高い予防効果は期待できません。高齢者では、約45%の発病を阻止し、約80%の死亡を阻止する効果があるとされています。若い人たちではもう少し高い効果が得られますが、小児になると、年齢が低いほど効果の割合は下がり、幼児ではおおよそ20〜30%の効果と考えられています。
これさえやっておけば、というほどの予防効果ではありませんが、少しでもインフルエンザによる高熱や合併症のリスクを低くするという考え方ではワクチン接種を受ける価値があります。
インフルエンザ脳症に対してはワクチンを受けても残念ながら発症することもあり、脳症の完全な予防は期待できません。しかし、インフルエンザにならなければ脳症にもならないわけで、この点が合併症のリスクを少しでも低くするためには幼児へのインフルエンザワクチンの接種は意味がある、と考えられるところです。
0歳児のインフルエンザはあまり症状も典型的でないため、私はあまり積極的に接種をお勧めしていませんが、小児科医の間でもいろいろな議論のあるところです。かかりつけの先生とよく相談されると良いと思います。
タミフルは、インフルエンザによる発熱から48時間以内に服用すると、高い解熱効果があります。つまりインフルエンザを軽くすませることができます。まれに副反応として、意識障害、異常行動などの重い症状が出ることもあるという最近の報告があります。一方インフルエンザそのものでも異常行動をおこすことがあることはこれまでも知られているところです。
いまのところタミフルの服用と転落死などの重度異常行動との関係についての結論は出ていませんが、そのような報告の年齢の多い10代でのタミフル使用は念のため制限されることになりました。専門家による全国調査などが引き続き行なわれているところです。
幼児以上ではタミフル使用によって発熱の日数などは短くなるので早く楽になることはありますが、インフルエンザはどうしてもタミフルを使わなくては治らない、というものでもないので、例えば夜中に熱が出てタミフルがないと心配だ、という必要もないと思います。なおインフルエンザ脳症は、タミフルの効果の現れる以前の発熱から24〜48時間以内で起きることが多く、その効果は不明です。
早く楽にするためにはタミフルを使うこともあるし、タミフルそのものが不安であるならあえて使う必要もないと思いますが、タミフルなどの薬を使う使わないに関わらず、インフルエンザなどの病気の時には、少なくとも熱の出ている間は子どもを一人きりにしないようにして、様子をよく見るべきであると思います。
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