嘔吐・下痢 子どもの病気 教えて!ドクター
乳幼児にとって「嘔吐」は、さまざまな原因で起こる症状です。そのなかでも「下痢」を伴う場合はいわゆる嘔吐下痢症(=急性胃腸炎)の事が少なくありません。原因としては細菌性のこともありますが、冬にはウイルス性のものが多く、人から人へと感染して保育所や家庭で流行したりするので「おなかの風邪」と表現されたりもします。
細菌性の時は抗生物質を使うこともありますが、ウイルス性の場合は特別な治療法は無く対症療法のみです。つまり吐き気止め、整腸剤、解熱剤などの薬を使ったり点滴を行うこともありますが、無治療で良くなる場合も多いです。
最近ではノロウイルスが有名になりましたが、その他にも急性胃腸炎を起こすウイルスはいくつもあります。以前から有名なロタウイルスはノロウイルスよりも症状が強い傾向があり、世界的に乳幼児の死亡原因の重要なひとつにあげられています。このためロタウイルスは予防接種が開発されていますが、残念ながら日本ではまだ使用できません。
一番大切なのは十分な水分の補給です。一度にたくさん飲むと吐きやすくなるので、少量を頻回に与えた方がよいでしょう。塩分と糖分が適当な割合で混ざった物がよいと言われています。医師から処方された(又は市販の)経口補水液を利用したり、あるいは子ども用のイオン飲料でもよいでしょう。熱が出た場合は短時間で脱水状態になりやすいので注意が必要です。
小さい子の場合、下痢によってオムツかぶれも起こしやすくなります。できる限りこまめにおむつを替えてお尻は拭くだけではなく洗ってあげるのがベストです。肌を保護するためにワセリンなどをこまめにお尻に塗ると、オムツかぶれしにくくなります。
原因のウイルスまたは細菌の種類によって伝染力の強さや仕方は異なりますが、ウイルス性の場合は特に人から人への感染が問題になります。患者さんの便や吐物には多量に病原ウイルスが含まれていて、トイレの後やオムツ処理の後、さらに吐物を処理した後には十分な手洗いが必要です。ロタウイルスやノロウイルスにはアルコール消毒は効きません。熱による消毒か次亜塩素酸ナトリウム(ミルトンやキッチンハイターなど)が有効とされています。
摂取する水分より失われる方が多い場合は時間とともに脱水状態になってきます。排尿が少ない、唇が乾燥していることなどが参考になりますが、何よりもまず「元気がなく、ぐったりしている」「血便が多く見られる」「嘔吐が激しい」という時はすぐ医療機関を受診しましょう。また腹痛が激しい場合は他の病気の可能性も考えて早めに受診してください。
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