事故・ケガ 子どもの病気 教えて!ドクター
子どもの死亡原因の第一位は、交通事故、溺水、窒息などの不慮の事故となっており、事故は、子どものもっとも重要な健康問題といえます。
日本で年間約250人の子ども(15歳以下)が水の事故で死亡します。1歳台までの溺水事故の80%以上が、お風呂で発生しています。子どもは10cmの深さでも溺れます。事故は周囲の大人が気をつけることで予防できますし、また、大人には予防する義務があります。
万が一発生した場合、わが子の事故に、気が動転していると思いますが、パニックになることなく、落ち着いて行動しましょう。特に呼吸が出来ていない場合、119番通報の前にまず、水を吐かせて、1〜2分は人工呼吸をしてください。その後、119番通報します。体の保温をしつつ救急受診してください。
子どもは、呼吸が停止し、引き続いて心臓が停止してしまうことがほとんどであり、子どもの心肺蘇生では、呼吸の確保が重要な位置を占めます。逆にいうと、気道確保や、人工呼吸を行うことにより、蘇生に成功、回復する可能性が高いのです。
心肺蘇生は、数分以内に行うことが大切です。血流が数分途絶えると、脳の神経細胞は、不可逆性の障害を残してしまいます。呼吸を停止した状態が、数分続くだけで、神経細胞の障害が進み、ほとんど回復の可能性はなくなり、死に至ります。
心肺蘇生は、ABCの順で行います。ABCは、アルファベットの頭文字をとっており、それぞれ、AはAirway(気道)、BはBreathing(呼吸)、Cは、Circulation(循環)です(図1)。
以下に手順をしめしますので、万が一の時に備えて、イメージしてみてください。
舌が、空気の通り道(気道)をふさいでしまいます(図2a)。頭を後屈させ、あご先を挙げることで、気道を確保できます(図2b)。
気道を確保した状態で呼吸をチェックします。胸や腹の上下運動を見て、鼻や口から息を吐く音を聞いて、そして自分の頬にあたる息を感じて、10を数える位の短時間で判断します。
●呼吸をしていれば、横向き(回復体位)にして119番通報します(図3)。
●呼吸をしていないのであれば、Bの人工呼吸を行います。
その後、循環のサインをチェックします。『息、咳、動き』が有れば、循環があります。医療者は、ここで脈拍を見ますが、一般の人は、『息、咳、動き』をチェックし、10を数える位の短時間で判断します。
●循環のサインがあるのであれば、気道確保、人工呼吸を続行します。
●循環のサインがなければ、Cの心臓マッサージを行います。
心臓マッサージの位置と圧迫の程度、回数が大事です。
位置は、胸の骨の下半分で、圧迫の程度は、大人の場合、約4〜5cmの深さまで両手で圧迫しますが(図5a)、子どもの場合、約2.5〜4cmを片手で圧迫(図5b)、赤ちゃんでは、約1.5〜2.5cmを指2本で圧迫します(図5c)。
回数は、子どもは毎分100回(赤ちゃんは毎分100回以上)です。心臓マッサージ30回の後、人工呼吸を2回することを1サイクルとして、5サイクル(約2分)ごとに再評価します。
大人の場合、この次のステップでAED(自動体外式除細動器)装着の手順がありますが、子どもの場合、8歳以上(25kg以上)の適応となりますので、ここでは、割愛いたします。
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