麻疹・風疹(MR) 予防接種 教えて!ドクター
はしかと風しんのワクチンは、今年の4月からのMRワクチン(麻しん[measles]と風しん[rubella]の混合ワクチン)に変わります。
はしか(麻しん)と風しんは、昔から全身の発疹と発熱の出る重たい風邪として知られています。幸い、現在は非常に効果が高いワクチンがあり、予防接種を済ませておけばこれらの病気になることはまずありません。
おたくのお子さまは、もうはしかの予防接種は済ませたでしょうか?平成11年と13年に人口130万人、年間出生数1万7千人の沖縄で起こったはしかの流行では、9人の子どもがこの病気で亡くなっています。江戸時代には「命定め」と言われて恐れられていたはしかに対する根本的治療法は医学の進歩した今日でも無く、その意味では当時と何も変わりはありません。
はしかは、実際に病気になってしっかりと抵抗力(免疫)をつけるべきだと考えている方もおられます。しかし重症のはしかの患者さんは、最先端の医療を施しても救命できずに死んでしまいます。私も、患者さんにも大きな苦痛を与えるこのような治療をして2週間も3週間も頑張りましたが、それでも7〜8人のはしかの患者さんは救命できませんでした。
治療法が江戸時代から進歩していないはしかの対策はワクチンしかありません。予防接種の副反応を気にされる方がおられますが、厚生労働省の予防接種健康被害認定状況を見ると平成16年度は、麻しんで3件、風しんはゼロでした。
はしかと同様、予防が重要な病気に風しんがあります。風しんは、はしかほど重くなる病気ではありません。しかし、風しんになったことが無い女性が妊娠初期にこの病気にかかると、お腹の中の子が、目が見えなくなったり、耳が聞こえなくなったり、心臓に重大な奇形が出来たりして生まれてくることが知られています。その上、このような先天性風疹症候群と呼ばれている障害は、抗体の無い女性が妊娠すると50〜70%くらいと言う高率で発生すると言われています。
よく、子どもの時、風しんになったから大丈夫という女性がおられますが、風しんは見ただけで診断することはとても難しく、事実上不可能です。確実な診断は血液検査だけです。少し専門的になりますが、血液の中の風しんのHI抗体価が16倍以上あれば安全といわれています。これより低い値の女性は、妊娠中に風しんにかかると障害をもった赤ちゃんを産む可能性があるので、産婦人科や小児科などの専門知識の高い先生に相談して妊娠前に予防注射を打っておく必要があります。
男性は、妊娠しないから無関係と考えてはいけません。一つの家で生活をともにしていれば、夫が妻に風しんをうつす可能性は高いといえます。
子どもの頃、はしかや風しんの予防注射をしたから大丈夫とは考えないでください。理屈の上では、一生効果があると考えられていたはしかや風しんの生ワクチンも、感染症が減って再感染による免疫を再強化する機会が減ったため、効果が段々薄れることがあることがわかってきました。このこともあって、平成18年4月からは1才になった時と小学校入学前の2回、麻しんと風しんを一緒にしたMRワクチンを打つことになりました。すべての国民は、予防接種法という法律により予防接種をうけるように努力する義務があり、また同時に予防接種は子どもに与えられた権利でもあります。お子さまには、なるべく早く、しっかりと予防接種をして病気にならないようにしましよう。
これらの病気と予防の最新の正確で詳しい情報は、国立感染症研究所『感染症情報センター』のホームページがお勧めです。
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