痔・便秘 ママの病気・健康 教えて!ドクター
人間は有史以来、痔に苦しんでおり、潜在的な痔を持つ人を入れると、3人に1人が"ぢ"主と推定されております。
第一の原因は「直立歩行」といわれています。元来四足動物であった人間が直立歩行によって肛門が心臓より低い位置になったため、肛門の血液の戻りが悪く血液が滞る(うっ滞)ためとするヒポクラテス説です。
その後1975年、トンプソンが提唱したのが直腸粘膜のゆるみが原因とする説です。すなわち「人間はトイレでウンチをする」ことから、ウンチをしたいときにすぐできず、不自然な便の排出のため直腸に負担をかけ直腸がゆるみ、痔を発生させるというものです。
現代人は様々な環境から、ますます気ままに排便できない状況にあります。痔は、人間が人間として生活する以上、避けられない文明病なのかも知れません。
便が硬かったりすると、出血を伴った痛みが肛門部に走る経験は多くの人があります。この肛門の状態をきれ痔、正式には裂肛と言います。特に女性に多い疾患です。
きれ痔の原因は?
①肛門の皮(肛門上皮)が過度に力が加わる硬い便(硬便性)
②何度も損傷される下痢(下痢性)
③肛門上皮がうすく弱い(脆弱性)
④肛門の力が強い場合(緊張性)
⑤何らかの理由で肛門が狭くなった場合(狭窄性)
⑥いぼ痔などが脱出するに伴うきれ痔(脱出性)
⑦なんらかの病気によるもの(クローン病、潰瘍性大腸炎、がん、結核など)(症候性)
⑧かゆみのため(擬似性)
などと分類されています。
特に、最も多いのが硬い便によるものです。
硬い便がでる→きれ痔→痛い→便を出すのが怖い→なかなか便を出さない→硬い便になってしまう→無理してだす→きれ痔 というのがきれ痔の一般的な状況です。
また、肛門の痛みは、肛門のまわりの筋肉の痙攣を誘発し肛門のしまりの強さが増します。すなわち、
肛門の痛み→肛門の周りの筋肉の痙攣→肛門が狭くなる→きれやすい
という悪循環におちいってしまいます。これらの悪循環をどこかで断ち切ってやる必要があります。
痔をもつひとの約80%は、ある程度、治癒させることが可能です。すなわち、まず快便が第一の基本です。さらに、長時間、肛門に負担をかけないようにすることも大切なことです。また、局所の清潔と血行をよくするために入浴も大切です。
それに加えて、便秘がちな人のためには、軽い緩下剤を用いること、種々の軟膏や内服などをつかいますとさらに効果があります。これらを1ヶ月くらいの目安でよくならなければ次の治療法を考える必要があるかもしれません。
Copyright © 2011 Mikihouse child & family research and marketing institute inc. All rights reserved.
この記事にコメントしよう