発熱、かぜ 子どもの病気 教えて!ドクター
乳児は受動免疫(胎盤経由のIgG抗体や母乳経由の分泌型IgA抗体)で生後6ヶ月まで風邪ウイルスから守られますが、その後は自力で戦います。風邪ウイルスは200種類以上あり、8歳までに200種類引くとしても、年平均25回、月平均2回引きます。集団生活ではウイルスと接する機会が増えて毎週のように引くこともあります。しかし、風邪を引くたびに、引いた風邪ウイルスに対する免疫を獲得し、引くべき風邪の種類も減ります。
「くしゃみ・鼻水・咳・嘔吐・下痢」は風邪に対する共通の防御反応。気道や消化管からウイルスを追い出します。「発熱」は体内でのウイルス増殖を抑えます。その間に2種類の能動免疫、すなわち、ウイルスを処理する「抗体」やウイルス感染細胞を処理する「キラーT細胞」を獲得して感染が終わります。風邪症状は能動免疫が出来るまでの時間稼ぎをします。
風邪がこじれるのは
①病原性が高い時
②侵入が大量の時
③追い出しが遅れる時
①の代表がインフルエンザ。ワクチンで能動免疫を獲得し、早期に抗ウイルス剤を使用します。一方、通常の風邪ウイルスに対しては②と③の回避が大切です。風邪ウイルスの侵入は鼻や口から。鼻腔の線毛上皮細胞や粘液分泌細胞はウイルス侵入を阻止しますが、「鼻詰まり」で「口呼吸」の場合、ウイルスは一気に咽喉に侵入します。また、口呼吸では、乾燥した冷たい外気が咽喉を直撃、その後、急カーブして気管に吸い込まれ、気道全体を傷つけます。
一方、急カーブを曲がり切れなかった外気は後方の食道に入り、胃腸が拡張して動きが悪くなります。飲み込んだウイルスも腸に逃げ込みますから、既に便秘傾向だとウイルスが追い出せません。
「鼻詰まり・口呼吸・便秘」でウイルスは「入り放題」「増え放題」に。ワクチンを含めて、いくら能動免疫を獲得しても、ウイルスや感染細胞を過剰に増やすと処理し切れません。結果、高熱が出現、中耳炎・副鼻腔炎(蓄膿症)・気管支炎・肺炎の合併率が上昇、下痢できないため嘔吐が続き、高熱と嘔吐で脱水になります。これがこじれるということです。
冬は乾燥し、暖房した部屋の湿度は極端に低下するため、鼻詰まりが多い時期です。40℃程度の蒸しタオルを作って、5〜10分、鼻や口に当てて鼻詰まりを予防します。排便は、午前中、特に、朝食後30分から1時間が出やすいので、登園前に「出し切って」下さい。鼻詰まり・口呼吸を避けて便秘を予防。風邪ウイルスを余計に入れずに、早く追い出すのが風邪をこじらせないポイントです。
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