皮ふ・スキンケア 子どもの病気 教えて!ドクター
「衛生的な環境で育った乳幼児の方がアレルギーになりやすい」という報告が、近ごろ注目されています。日本では70年代に乳幼児を取り巻く衛生環境が大きく改善され、その頃を契機にアレルギー体質になる割合も増えています。衛生環境の変化の代表的なものが「内湯」制度。家庭で毎日入浴するという習慣が当たり前になったのです。
しかし、入浴に関する誤った知識や方法が、現代日本人の肌をますます乾燥質にしているということも忘れてはなりません。
私たちの皮膚の役割をひとことで言うと「バリア機能」。つまり、皮膚をおおっている皮脂膜、その下の角質層にある天然保湿因子(NMF)、セラミドの3つが、皮膚のうるおいを保ちながら、外部刺激から肌を守ってくれているわけです。ところが、これらの保湿成分が入浴によって角質層から溶け出してしまうため、入浴後の皮膚は過度の乾燥状態になってしまいます。
右下のグラフに見られるように、入浴後15分もすると、皮膚は入浴前の乾燥状態にすっかり戻ってしまいます。ですから、入浴後遅くとも15分以内には、うるおっている皮膚が乾燥しないようにクリームや乳液などでしっかり保湿ケアを行うことが大切です。
特に、赤ちゃんの肌は大人と違って未成熟で、生後2ヶ月以降は皮脂の量が急激に減ってしまうためとても乾燥しがちです。そこへ、大人と同じような入浴法や洗浄法を用いると皮膚にもよくありません。3歳までの生活環境がその後の子どもの体質に大きく影響するといわれていますから、この時期の過度の入浴や洗いすぎは避けたほうがよいでしょう。
ひとつ目は皮膚にやさしい弱酸性の洗浄剤を使うこと。二つ目は、十分に泡立てること、そして、肌に優しい道具を使い泡で包み込むようにやわらかく洗うことです。近ごろでは、天然素材を使った三層構造で泡立ちのよいタオルなども市販されていますので、それらを使ってやさしく洗うことをお勧めします。
これからの季節は特に空気が乾燥します。特に入浴後、暖房の効いた締め切った部屋に入ると皮膚の乾燥が一気に進みます。
この冬はご家庭でできる乾燥対策として、入浴時に①石鹸の量を少な目に、②入浴時間が長くならないように、③お風呂からあがったら15分以内にしっかり保湿ケア、の3つを心がけて実践してみましょう。それだけでもお肌がずいぶん違ってくるはずです。
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