痔・便秘 ママの病気・健康 教えて!ドクター
「排便後、便器が真っ赤になっていた」、「紙に血がついていた」、「便に血が混じっていた」なんて経験はおありですか? 肛門から出血することを『下血』と言います。「でもあんまり他人に見せたくないし…」と不安がつきまといながらも、そのうちトイレでの出血に慣れると、「自分は痔が悪いから…」と目をつぶってしまいがち。怖い病気のこともあります。他人事のようですが、珍しい話ではありません。
下血の原因として最も頻度の高いものは、やはり痔の三大疾患のうちの痔核(イボ痔)、裂肛(切れ痔)で、その出血は出口に近いため真っ赤な色をしています。肛門に近い直腸癌や直腸炎でも同じです。
大腸の病気で下血の原因となるものは、直腸炎、出血性腸炎、虚血性腸炎、大腸憩室炎、大腸ポリ—プ、比較的若い人に多いのが、潰瘍性大腸炎などで、そして最も怖いのは大腸癌です。
大腸からの出血の場合は腸液の影響で、出血部位が上部(口側)になるほど真っ赤な色から次第に茶色(褐色)を帯びてきます。ちなみに胃潰瘍などの上部からの出血は胃酸のためタール便といって黒色です。下血の色は、病気の場所によって赤い時もあれば茶色の時もあるということです。
とにかく下血があれば大腸肛門の精密検査が必要で、専門医を受診して必ず大腸の検査を受けましょう。勿論、肛門の診察は欠かせません。
大腸粘膜(なかの皮のこと)に発生しているイボ:隆起した病変(時にへこんでいるものも含めます)の総称をいって、原因は様々で、癌化する可能性があるものや出血しやすいものは治療の適応です。
大きな原因のひとつが食生活と考えられています。とくに、日本では食生活の欧米化、すなわち高脂肪食化にともなって発生が多くなっています。現在のところ、喫煙や飲酒との因果関係は認められておりません。
大腸がんの多くは大腸ポリープ(腺腫)から発生することがわかっております(アデノーマ・カルチノーマ・シークエンス説といいます)。従って大腸ポリープや大腸がんの予防として確たる方法がない現在のところ、大腸ポリープの切除が最大の大腸がんの予防(2次予防といいます)と考えられています。
ちなみに腺腫ががんになる確率は、報告によってまちまちですが6〜18%です。
ポリープの形によって、くびれのあるきのこ状のポリープにはポリペクトミー、平坦なくびれのないポリープには粘膜切除術と、大きく2通りの方法があります。
手術が必要か、内視鏡で切除することが可能かは、大きさは関係ありません。良性のポリープである限りほとんどの場合、内視鏡で切除することが可能です(例外もあります)。しかし、一部に悪性の細胞(すなわちがん細胞)が存在していると判明し、かつ病変が深く(粘膜の下まで)ひろがっており内視鏡で切除しても意味がない(すなわち治らない:腸の外側のリンパ節にひろがっている可能性がある)と判断された場合、手術の適応になります。
このような大腸がんは、最近では、多くの場合、腹腔鏡で手術することが可能です。全身麻酔でお腹に穴をあけてカメラ(腹腔鏡)を挿入し手術をします。当然、リンパ節ごと大腸を切除することが可能です。
幼少期にあるものとして若年性ポリープというものがあり、4〜5才でポリープが大きくなるとともに排便時の出血をともないます。ときに切れ痔と誤診してしまうことがあります。切れ痔の治療でも改善しない出血の場合、小児用の内視鏡を使って大腸を診ます。ちなみに当院で経験した最少年齢のポリープ切除は3歳の女の子で、大きさ約2cmのポリープでした。今は、元気な小学生です。
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