皮ふ・スキンケア 子どもの病気 教えて!ドクター
日焼けは健康のあかし、日に当たると風邪をひかないというのは昔のこと。
紫外線(UV)はお子さまにとっても大敵なのをご存じですか?
そこで陽射しがどんどん強くなる季節に向けて、紫外線とその影響を長年研究されている市橋正光先生にUV対策について教えていただきました。
紫外線といえば、シミやシワの原因として知られ、ママたちもあれこれケアされていると思いますが、紫外線は体の外側だけでなく、内側にも影響を及ぼします。そのひとつが遺伝子への影響です。
「紫外線のB波は表皮の奥深くまで侵入し、細胞の遺伝子に傷をつけます。また遺伝子に傷をつける活性酸素という物質も増加。傷は2日程度で修復されるのですが、傷が多いと修復が追いつかず、正常でない細胞になることがあります。これがシミや皮膚ガンなどの原因です」。
とくに赤ちゃんは細胞分裂がとても活発なため、それだけ修復ミスの確率も高くなるそう。しかも紫外線はこれだけではなく、体を守る免疫力にも影響を及ぼします。
「体内に異物が侵入すると、ランゲルハンスという細胞がそれを食べ、一部をリンパ球に運んで反応を起こさせます。一度この反応を覚えたリンパ球は次に同じ異物が侵入してくると自ら反応し、防衛。これを免疫といいます。しかしランゲルハンス細胞は紫外線に大変敏感。紫外線を浴びると10日ほど働きが停止し、この間に新たな異物が侵入しても反応が起きず、生涯それを認識できません。またすでにある免疫力も低下し、感染症にかかりやすくなったり、体調を崩しやすくなったりします」。
市橋先生は「UV対策は生まれた時から始めてもいいくらい」とおっしゃいます。というのは、疫学調査でも、子どもの頃にたくさん紫外線を浴びた人は、将来皮膚ガンになる確率が3〜5倍高くなることが証明されているからです。
「シミやシワ、皮膚ガンといった影響は年齢を重ねるごとにあらわれてきます」。
紫外線の影響を防ぐには、UV対策を徹底し、子どもの頃から浴びる量を少しでも減らすこと。ただ神経質になりすぎるのは禁物。
「UV対策とは子どもたちが紫外線を浴びないよう外出を控えることではなく、元気に活動できるよう大人が配慮すること。それだけで紫外線量を約10分の1に減らすことが可能です」。
市橋先生は全国の講演会で紫外線の害と対策についてお話され、普及啓蒙に努めておられるだけでなく、学校や幼稚園にも働きかけていらっしゃいます。
「外に出る時は必ずサンスクリーン剤を塗るといったことが子どもたちに定着すれば、さらに紫外線から守ることができます」。
紫外線の影響はママやパパも同じ。家族みんなで毎日のUV対策を習慣づけましょう!
●外気浴はいいが、日光浴はしない。遊ぶ時も炎天下やコンクリートの上は 避け、芝生や土の上、木陰の多い所で遊ぶ。
●紫外線がもっとも多くそそがれる10時から14時の外出は避ける。
●外出する時は必ずサンスクリーン剤を塗る。汗をかいたりしたら塗り直しを。
●サンスクリーン剤は肌への負担が少ないものを選ぶ。数値は日常でSPF10〜30、PA+++程度。プールや炎天下ではそれ以上のものを使う。
●サンスクリーン剤はうすく伸ばしすぎると効果が得られない場合もあるので、 たっぷりムラなく塗る。耳の後ろや肩口、サンダル履きの足の甲などは日焼けしやすいものの、塗り忘れることが多いのでご注意。
●赤ちゃんの肌は紫外線をはじめ、外部刺激に対するバリア機能が未熟なので、セラミドなどによるスキンケアも行う。
●海やプールに入る時は、水で流れにくいサンスクリーン剤を使用し、水から出ている時は上着をはおる。サンスクリーン剤はこまめに塗り直す。
●外では帽子をかぶり、できれば長袖、また上着をはおって皮膚を覆う。
●ベビーカーは日よけを。地面からの照り返しもあるので、帽子をかぶり、足元はタオルケットなどをかける。
●家や車の窓ガラスにはUVカットフィルムを貼るなどする。
●日焼けは体に良くないことを教え、子どもたちがすすんでUV対策を行う環境をつくる。
■紫外線A波
窓ガラスを通り、真皮にまでとどく。それほど季節による差はないが、夏は冬の2倍くらいになる。サンスクリーン剤のPA値は紫外線Aを防ぐ効果を表す。
■紫外線B波
皮膚細胞の遺伝子DNAに直接吸収されて、傷をつけやすい。日本では夏の正午前後が一番量が多く、冬の5倍くらいになる。サンスクリーン剤のSPF値は紫外線Bを防ぐ効果を表す。
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