痔・便秘 ママの病気・健康 教えて!ドクター
痔の代表は痔核(イボ痔 肛門の血管のかたまり)、痔瘻(あな痔 穴が開くこと)、裂肛(切れ痔)の三大疾患です。潜在的な痔主を入れると、日本人の3人に1人 ぢ 主と推定されており、痔がむし歯に続き「第二の国民病」と言われるゆえんです。
痔は動物には発生しないことがわかっております。"ぢ"もち犬や"ぢ"もち猫は存在しないそうです。人間には"ぢ"主様が多いようですがどうしてなのでしょうか。第一の原因は「直立歩行」です。元来四足動物であった人間が直立歩行によって肛門が心臓より低い位置になったため、肛門の血液の戻りが悪く血液が滞る(うっ滞)ためとする説です。なんと紀元前にヒポクラテスが提唱した説で最近まで最も有力でした。1975年、トンプソンの提唱したのが直腸粘膜のゆるみが原因とする説です。すなわち「人間はトイレでウンチをする」ことから、ウンチをしたいときにすぐにできない(動物に我慢なし!)ため便秘になり直腸に負担をかけ直腸がゆるみ痔を発生させるというものです。
妊娠すると体内の女性ホルモンの量が増加します。この女性ホルモンがまず便秘の原因となります。さらに妊娠後期になると子宮が大きくなり、おなかの中で肛門から心臓に血液を返すための血管(下大静脈といいます)を圧迫し骨盤内(殿部)のうっ血をもたらします。また、子宮によるおなかの中の腸の圧迫によって便秘傾向に拍車をかけます。これらのいろいろな原因が肛門部の痔核の発生、悪化、ほかに固い便による裂肛をきたすことがあります。
妊娠末期になると肛門周囲のうっ血はますますひどくなり、ときには肛門全体が腫れることもあります。出産の際には、腹圧がかかりますますひどくなることがあります。
しかし、産後1〜2週間もすれば次第に腫れもひき、痛みも軽くなってきます。従って、手術しないで済むことがほとんどです。
すべての痔の治療の基本は保存療法(食事療法や排便習慣、飲み薬やつけぐすり)です。しかし、どうしても手術が必要な場合、痛みがどうしてもとれない場合、妊娠5ヶ月〜8ヶ月の安定期に産婦人科の先生と協議しながら手術をする場合があります。この場合、胎児への影響のないとわかっているもの(例えば漢方薬など)を用います。もちろん、出産後であれば授乳に影響ないように薬を選んでいきます。
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