麻疹・風疹(MR) 予防接種 教えて!ドクター
日本の子どもたちの健康は世界の中でもトップレベルですが、感染症の領域で大きな問題が一つ残っています。それは麻疹(はしか)の流行がなくならないということです。
麻疹とは昔から怖れられている病気で、「いのち定め」と言われ、麻疹でいのちを落とす子どもがたくさんいました。また、死亡しなくても脳炎などで重い後遺症を残すことも少なくありません。子どもの体力が増し、医療の水準も高くなって麻疹で死亡するケースは減りましたが、今でも大きな流行があると年間数十人以上の子どもがいのちを落としています。
麻疹を防ぐのに効力を発揮するのは、ワクチンです。きちんと接種していれば、幼児期に麻疹にかかることはまずありません。副作用も、麻疹の怖さに比べれば問題にはなりません。自然にかかったほうが強い免疫がつくと考え、ワクチンを受けさせない方もいるようですが、麻疹の死亡率や後遺症を考えれば、その考えがいかに無謀かがわかるはずです。
予防接種の普及によって世界の先進国のほとんどで麻疹の流行がなくなっている中、日本はいまだに発展途上国と同様に流行が繰り返されています。アメリカでみつかる麻疹は日本から輸入されるものが最も多いと、クレームをつけられるくらいです。これはワクチンの接種率が低いと同時に、接種する月齢が遅いことが原因だと考えられています。つまり、ワクチンを受けていない子どもが多ければ多いほど、流行は起こりやすいのです。
「1歳の誕生日に麻疹ワクチンを」。1歳になったら、できるだけ早く麻疹ワクチンを接種することが大切です。
現在、私たち小児科医はキャンペーンを張って、日本から麻疹を撲滅するために活動しています。今年も3月1日~7日までを「こどもの予防接種週間」と定めました。これは、入学・入園前に予防接種を確認し、また予防接種の必要性と安全性を知ってもらい、働くお母さん方のために予防接種の機会を増やそうという運動で、日本小児科医会、日本医師会、厚生労働省が協力して展開しています。この機会に、もう一度お子さまの母子手帳の予防接種欄を確認してください。1歳を過ぎて麻疹ワクチンの接種が済んでいない方は、かかりつけの先生に相談して、できるだけ早く接種しましょう。
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