皮ふ・スキンケア 子どもの病気 教えて!ドクター
冬の到来とともに気になるのが、お肌のトラブル。
中でも心配なのが、乾燥や湿疹。
かゆくなり、かきすぎると血が出たり、ただれたり・・・。
お子さまのデリケートな肌は、どう守ればいい?
皮膚の表面には、角質層という皮膚を保護する膜が存在します。そこには角層細胞間脂質であるセラミドが存在し、皮膚の水分を保持して体外への喪失を防ぐバリアを形成しています。新生児は生後1カ月くらいまでは、急に外気にさらされたために乾燥肌を起こしますが、かゆみはなく、自然に消失します。
その後は、母体の影響が消える生後6カ月くらいから皮脂の分泌が減るため、思春期前後までは乾燥気味になります。冬の乾燥により、この角質層がめくれあがると、強烈なかゆみが起こり、かきむしってしまうことになります。かゆいところをかくと気持ちよくなりますから、ダメだとわかっていてもつい手が出てしまいます。このかくという行為は、愛情に対する欲求不満からも起きるといわれますので、場合によってメンタル面でのケアが必要になることもあります。
衣類の摩擦や、それに伴う静電気の発生は、さらに肌の状態を悪化させます。バリア機能がなくなるため、肌はますますガサガサになり、皮膚が赤くただれて出血することも。
肌の乾燥した部分を治療するには、やはり保湿を中心としたスキンケアを行うことが大切です。それには、保湿剤を1日に2回(朝着替えるときと入浴して体を拭いた直後)、乾燥しているところすべてに塗ります。塗る目安としては、蛍光灯の明かりが軽くテカるくらいが、ちょうどいい塗り方です。また保湿成分の入浴剤も効果があります。ただし、皮膚の様子で塗る軟膏は変わりますし、保湿剤で湿疹が治るわけではありません。ひどい場合は、ステロイドを必要な量だけ塗るのもいいですが、事前に皮膚科に相談したほうがいいでしょう。
お子さまの皮膚は角質層が薄く、成人よりも皮脂の分泌量が少なく、バリア機能が未成熟で、抵抗力が弱いです。だから食べ物でかぶれたり、細菌感染を起こしたりしやすいわけです。口のまわりや手に何かついても取り除かず、そのまま放置すると湿疹の原因に。わずかな刺激がバリアの破壊を起こし、さらに外からの刺激を受けやすくなるという悪循環に陥ります。
でも拭きすぎるのは、結果的に皮膚を強く刺激することになるので、注意してください。また、手を洗うというわずかな刺激でも、繰り返すことによって、湿疹ができたりします。いわゆる、手荒れですね。汗をかいたままにしても、その刺激で湿疹を作ったり、服に残っていた洗濯洗剤が溶け出したりしてかぶれを起こしたりすることも。あせもだと思ったら実はかぶれだったということも多いです。アトピー性皮膚炎も、かゆみを特徴とする「湿疹皮膚炎群」のひとつですから、通常の湿疹との区別はつきにくいです。乳児の場合は、顔を中心とする湿疹(乳児脂漏性湿疹)が徐々に悪化していくときは、アトピーを疑います。 幼児では、ひじやひざの内側に、苔癬化と呼ばれる硬いザラザラした局面が目立ってきます。また、耳たぶの付け根が切れる耳切れや、乾燥のために小さなつぶつぶや白い粉のようなものが皮膚に見られることも特徴。バリア機能の低下だけでなく、皮膚の免疫機能も落ちているので細菌感染なども起こりやすくなります。
●乾燥や湿疹でのかゆみを抑えるケア
一時的にかゆみを抑えるには、タオルなどで冷やすといいでしょう。予防には(日)汗をかいたままにしない
①石鹸は使いすぎず、強くこすったりしない
②入浴後の肌がしっとりしている間に保湿剤をぬる
③静電気が起きる服の組み合わせは避ける
④爪を短くし、皮膚を傷つけない
⑤加湿器などで室内の乾燥を防ぐ
などがあります。石鹸は頭や顔など皮脂分泌が多くてベタベタした部分に使い、傷のある部位には保湿剤は避ける、特に尿素入りのものはしみる場合は避けたほうがいいです。また、長時間の入浴は角質の脂質などを失いやすくしますし、エアコン暖房は空気の乾燥を引き起こしてさらなる体内の水分喪失が起きやすくなりますので、注意が必要です。
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